前回の続きで、ゲストの毛利眞人氏と不良少女や大正~昭和初期の時代と当時の人々の意識について話しています。
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■不良化少女の末路
mori: 映画やレヴューの華やかな世界に憧れて飛び込んだ少女は多いんじ
思う。でも現実問題としてスターになれるのは一握りで、
大勢に留まる女優志願者がほとんどだったわけで。
テーマにした歌は、下積みの子を書いたのが圧倒的に多い。
hirayama: スターになれなかった子はどうなるんだろ
hirayama: ある程度までいくと諦めて家庭に入るのかな
mori: 家庭に入れるのはしあわせな方じゃない? ダンスホールのダンサーもだけど。
hirayama: じゃあ、不幸な子は?
mori: 新聞記事見てると、心中に巻き込まれたり、自殺したり
hirayama: ああー…。女優やダンサー目指して女給とかしてる子もいるから、
ないバーテンとくっついて一旗上げに満州へ…とか
mori: 寒中に暖をとろうとして衣装に火がついて焼死したような子もいる
hirayama: ええー悲惨
mori: つなんない男にひっかかっててのもあるだろうねー。
真ばらまかれたり・・・
hirayama: 相手は失うものもないからやることがエグイね
■副業が売春
mori: なので、
という子も
hirayama: 売春は丸の内のタイピストにもあったくらいだからなあ
mori: タイピストがねえ!
hirayama: まあ、
mori: うん
hirayama: だからって一足飛びに売春って…
mori: 飛ぶよねー。レヴューなんかは幕内の世界だから、
と思う。でも、丸ビルの方がギャップがあって驚くな
hirayama: 実際どうなんだろうねえ
mori: 実際以上に煽ってるとか?
hirayama: まあ、なんだろう、
ようなのがあってw
mori: あるあるww
hirayama: モヒ※2でもやって書いたのか? みたいなw
mori: 語り手の物語がかなり入ってる場合、あるね
hirayama: そうそう
hirayama: だから「モダン・千夜一夜」※3に載ってる、
てる使用済みコンドームが100とか200とかいうのは眉唾だけ
mori: 毎月かあ。どんだけトイレでやってんだw
hirayama: うん、それはちょっと言い過ぎっぽいけど
hirayama: 丸ビルで開業してた靴磨きのおじさんが売春斡旋してて捕まったら
事実無根ではないと思う
mori: 靴磨きってとこがいいねw
hirayama: そうそうw フリーな感じで
mori: うまいところに目をつけたと思う。
mori: 新聞記事でも物語入ってたり齟齬があるから信用できないー
hirayama: 新聞記事も事実とは限らないw あれも味の一種で好きだけどねー
mori: うん! 記事をつき合わせていると見えてくるものがあるよね
hirayama: うん
mori: 記事そのものも味がある。記者の偏見とか物語とか
hirayama: 大衆の望む方向性とか
mori: 新聞によっても色合いが違うしね
■商業主義的「実話」
mori: 送った本※4の後半なんか、ほとんど物語じゃん? それがまた面白いの。伏字
なんかあるけど、想像つくし
hirayama: 見て来たように書くからねw
mori: あれ、どうなんだろ。
hirayama: 東京少年審判所長ですぜ
mori: 権威じゃんwww
hirayama: うん、だから事件は一応あるんだと思うのよ
hirayama: さすがに0からねつ造はね。でも、
mori: そうそうwww語り口が豊かだよね
hirayama: 菊池寛なんかも「実話」を流行らせたけど
hirayama: あれも実際にあった話というより、そういうジャンルってだけ
mori: 本の後半のほうだけど、少女がいとも簡単に男に騙されたり、
てしまったり、男の言い訳にすんなりと従っていたりする
hirayama: うんうん
mori: あんなに素直だったとしたら、なんともいじらしいね。
hirayama: あの時代の女性って変に従順だったり変に過激でよくわかんないん
mori: わかんない。少女はひたすら純情というか初心。
mori: 菊池がそういうのはやらした素地には、
に自分の生きている時代を知ろうという動き。
hirayama: 考現学的な視点なんだろうね
hirayama: でも、売らんかなだからね
mori: 戦前はいまと変わらないくらいえげつない商業主義ということで
hirayama: そうそう
mori: いまとちがって、
度活字になったら。
hirayama: そうね
■虚実ないまぜの悦楽
hirayama: フィクションとノンフィクションをごっちゃにしてはいけないけど
hirayama: わたしとしては、
いわけで
mori: だよね。
空気だったわけで。
hirayama: イメージと現実の錯綜というかモンタージュ的な
mori: モンタージュ的な、ていうのはいい表現だと思う。
hirayama: コラージュ、モンタージュ、流行ったものね
mori: うん!
hirayama: そんな気分だったんだとおもうんだよね
mori: 虚虚実実のないまぜになったところがあるね。曖昧許していて。
hirayama: むしろ「現実」ってなんなんだ、という
mori: 今から見ると、靄のかかったところがある。
hirayama: フィクションとノンフィクションがないまぜになった時代
hirayama: 意識的にないまぜにした、と
mori: それが何故かまで知りたいところだね。
hirayama: 逃避ってことはあるよね
mori: 事実物語に逃げざるをえなかったということ?
hirayama: 逃げるというと後ろ向きだけど実験でもあるんじゃない
hirayama: 肉体への関心というのもあったでしょう、潜在意識、心理学…
行ったし、意識や感覚の実験もあると思うな
mori: まずエロがあるし、変態心理から心理学に進捗するし、
mori: なんかさ、
するけど。
hirayama: 今のケータイ小説も「本当にあった話」
いし
hirayama: 世の中が退廃すると実話を求めるのかw
pierre_brillante: それはもう菊池寛だったらそうするだろうし、そういおうと思っ
てた。ケータイ小説とか2ちゃんの体験ものとか。
hirayama: うんうん 半分は釣りだがなw
mori: 読み手にとってはそれが実話かどうかは本当はどうでもよかったり
hirayama: そうそう、「実話」という名のファンタジー
hirayama: だから我々はフィクションもノンフィクションも同じように愛しま
mori: そうだそうだ。
hirayama: それは消極的な意味ではなく、むしろ積極的に
mori: 調査の手を拒んで守るべき実話だね
hirayama: おお、いいね
mori: そこにあるのは、亜佐子さんのいったファンタジーでしょうねー
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※1 ワンサガール
映画やレヴューに於ける大部屋女優の意味。『モダン用語辞典』
(昭和5)年 には「一説にワンス・ア・ガール(Once a girl)から転化したものだ
と云う」とある。
※2 モヒ
モルヒネ(morphine)のこと。鎮痛・
※3「「丸ビルに於けるW・C掃除夫人の統計によると、
中に出て来る『雨外套』いとも強靭なる『雨外套』
五五八(ボーナス時代)二月、二一六(ノーマネー時代)三月、
四月、五一二(春期発動期)五月、六四九(新緑の候)六月、
七月、四一六(暑ぐるしくて)八月、二五〇(暑中休暇)九月、
四二三(漸次回復)十一月、四八〇(活動季に入る)十二月、
」。(『モダン・千夜一夜』田中直樹著 チップ・トップ書店、1931[昭和6]年よ
り)「雨外套」とはコンドームのこと。
※4 送った本
毛利氏が平山に贈った『防犯科学全集第7巻少年少女犯篇』
社、1935(昭和10)年 のこと。